「地震に強い家に住みたい」について
あなたの住宅は地震への備え、十分ですか?
耐震診断、耐震補強の第一人者が豊富な経験と実例から説く正しい耐震診断こそ安心の第一歩
耐震診断をしましょう
阪神淡路大震災から10年が過ぎました。 確かにその後これに匹敵する大きな被害の地震は起きていません。 しかし、以後も鳥取県西部地震(M7.3、2000年)、芸予地震(M6.7、2001年)、宮城県北部地震(M6.4、2003年)、北海道十勝沖地震(M8.0、2003年)、新潟県中越地震(M6.9、2004年)そして2005年3月20日には福岡県西方沖地震(M7.0)が起きました。
地震の被害は、発生場所・時間帯などにも大きく影響されます。 もしこれらが都市部における地震であったならば、被害状況は一変していると思います。 たまたま山間地等に発生したことから、比較的大きな被害とはなっていません。しかし、被災地を見るとそのような客観的な見解は説得力を持ちません。 なぜなら、被災者は存在するからです。そして、個別的に見たときには被害が多いか少ないかという問題ではないからです。
福岡には、時々講演などで行くことがあり、 「福岡も地震がないわけではありません。りっぱな活断層があるのですから注意は必要です」 と毎回いってきましたが、地震には縁が薄いと思っている福岡の方々の耳にはなかなか入りませんでした。しかし、地震はこの地方さえ例外とはしませんでした。
このことにより、日本は現在、地震の活動期に入っていることを思い知らされました。
また、最近100年の統計からも、死者100名を越す地震は13回起きています。したがって、地震被害は結果論であり、たまたま地震が生じた地域の現況によるものと考えるべきだと思います。
地震が起こると決まって木造建物の倒壊例がテレビの画面に映し出されます。 そのため在来の木造建物は地震に弱いと思われている節もあります。 しかし木造住宅が地震に弱いのではなく、弱い構造の建物が大きな被害を生じているのです。
日本の建築基準法は昭和25年に制定され、以後も繰り返し、法規の改正は行われてきました。しかし、木造住宅の場合には、あまり厳しい行政指導もなかったこともあって、一般に浸透せずにきています。また一方では、在来工法の建物は自由設計が可能と勘違いをし、構造の安全性を無視した建物が多く造られてきました。
この結果が地震のときに大きな被害差として表れています。ときには、家族の生命、財産を一瞬にして奪われることになります。
私たちは、日本で生活している以上、地震は覚悟しなければなりません。 本来家族を災害等から守るべき家を凶器にしないために、耐震診断が必要といえます。
(本文よりの抜粋)
目次一覧
第一章 耐震診断は建物の健康診断
第二章 間違いだらけの補強工事
第三章 こんな家には耐震補強が必要です
第四章 木造建物の耐震補強とリフォーム
第五章 地震に強い家、弱い家
第六章 どのような家が長持ちするか
第七章 消化から改良の時代へ
資料編
『地震に強い家に住みたい』
著者:保坂貴司
出版:暮らしの手帖社
発行:2005年9月2日
定価:1,700円+税金